外国企業の日本支店設置
外国企業の日本進出形態は一般的に、駐在員事務所(連絡事務所)、日本支店、法人設立に区分され、事業内容や資本金の規模、活動範囲など、それぞれのメリット・デメリットを比較した上で選択をすることになります。その内、「日本支店」は、外国の法律に基づいて設立された外国企業(本社)が、その本社の事業を日本で行うため設置する機関であり、日本の商業登記法上では「外国会社の営業所設置登記」という名称で通用されています。これを便宜上「日本支店設置登記」と呼んでいます。もし、営業所設置登記ではなく、日本における代表者選任登記のみを行う場合は、その代表者の住所地が営業所の住所としてみなされます。
日本支店は、独立した法人ではなく外国企業の法人格が前提となっているので、支店の営業活動で発生する債権債務のすべてが外国企業に帰属します(善意の第三者に対抗することができない)。また、取締役及び株主総会などの機関設置や資本金の拠出を要しません。一方、登記が完了すると、日本支店の名義若しくは日本支店代表者名で、銀行口座の開設はもちろん取引先との契約や輸出入などが可能となり、駐在員事務所に比べそのビジネス活動の範囲が拡大されます。ただし、本社の資本金の額及び日本国内で発生した所得等については、原則課税対象となるのでご留意ください。
🔳 外国企業の日本支店設置の基本的な要件(要約)
※会社法(817条)、商業登記法及び同規則の規定による
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日本に代表者を定め、その中で1人以上は日本に住所を置くこと
日本代表の住所地又はその他の場所に支店を用意すること
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日本支店を管轄する法務局に登記をすること(登記なく事業を継続進行する場合、制裁対象)
🔳 日本支店設置の流れ(韓国企業を例として)
事前準備
(資料等)
宣誓供述書
作成・認証
支店登記
(営業所設置)
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韓国企業(本社)の定款、事業者登録書
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日本における代表者選任の適法性を確認できる資料:任命書、契約書、その他内部稟議書など
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日本の銀行に支店設置事前届出(業種による)
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日本国内の事務所(営業所)の決定、商号の決定(→本社名+○○支店)、支店設置日の決定、支店印鑑作成など
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韓国語の書類はすべて日本語訳文を付ける
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韓国で行う場合:作成した宣誓供述書を韓国の公証役場で認証
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→ 日本における代表者のみ可能
日本で行う場合:作成した宣誓供述書を駐日韓国大使館(領事館)で認証
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大使館で認証を受ける際に必要なもの(書類は発行日から3カ月以内のもの)
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公証嘱託書
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宣誓供述書(重要事項をまとめて整理した書面)
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韓国企業(本社)の印鑑証明書、登記簿謄本
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本社の取締役会の議事録 など
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支店所在地管轄の法務局に外国会社の営業所設置の登記申請
→ 申請日=支店設置日(登記完了:1~2週間所要)
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登記完了後、登記事項証明書(登記簿謄本)及び印鑑カードを受け取る
口座開設及び
官公署申告
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日本支店名義の銀行口座開設(インターネットではなく直接金融機関に訪問して申込みすること、予約必要場合有り)
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税務届出、社会保険加入手続き、労災保険の加入手続きなど
<外国企業の日本支店設置にかかる費用(目安)>
①
登録免許税(一律適用)
90,000円
②
証明書発行手数料等
3,000円
③
支店印鑑作成(実印、角印、銀行印、ゴム印)
④
手続代行(登記申請・税務・社会保険関連届出など)
30,000円
70,000円~400,000円
※
上記以外、ビザ取得費用、事務所セットアップ費用などを合わせて、500万円以上がかかることを想定してください。
但し、既に日本国内に存在する駐在員事務所から日本支店に変更する場合は大幅縮小されます。
※
日本における代表者の選任を登記する場合、登録免許税は、60,000円となります。
【参考】